創作した小説が世界の神話になっていた頃


 

[第二部・第五十四話:悪夢]

 

 赤い砂が肺に溜《た》まり、体のいたる部分が不調になっていく『肺砂病《はいさびょう》』(通称・赤風《あかかぜ》)は、いわゆる風土病的なもので、現在の医学では治らないとされているが、怖い病気ではなかった。

 

 なぜなら病気の進行がとても遅いというのが特徴であり。

 

 しかし、帝国の前皇帝を発症からたった五年で死に追いやったという例もあって、油断はできないところもある。

 それと、遺伝もかなり関係あるとの事。

 

 ずっと血筋を守ってきている代々の皇帝は皆、肺砂病だったという噂がある。

 

 

 

 ホルク医師により、レオが肺砂病だと告げられた玲菜は、絶望の淵《ふち》に落とされた気分で愕然《がくぜん》とする。

(レオが……病気?)

 

 だから、父は様子がおかしかったのか。もしかすると勘付いていて。

 

 ショックで体が震えそうになっている玲菜に、ショーンは慌てて言った。

「玲菜! 肺砂病は……」

「赤風は、怖い病気ではないよ〜、可愛いお嬢さん」

 同じタイミングでホルクが説明をする。

「末期になってくるといろいろとあって、進行を遅くしようとするなら医療費も高いし大変だけどね」

 医療費の話で、クララの母のことを思い出す。

 レオの元使用人だったクララは、肺砂病の母親の医療費で苦労した、と。後宮のクリスティナを助け出しにいった、つい先日に教えてもらった話だ。

 

「初期はほとんど症状も出ないし、何より進行が遅い。発症してから三、四十年くらい生きていた事例もある。それに、発症も高齢になってからが多いし」

 では、なぜ彼は……

「レオは、まだ二十三歳なのに」

 虚《うつ》ろな瞳で玲菜が質問すると、ホルクも頷《うなず》き答える。

「そう! シリウスはまだ若い! 原因の一つに『遺伝』もあるけれど、それでもやはり、早すぎると思うんだ」

 ショーンも、そのことは凄く疑問に思っていた。

「じゃあ、違う病気の可能性の方が高いだろ? っていうか、むしろ疲労……」

「いや、赤風ではあるよ」

 きっぱりとホルクは告げる。

「ただ、それだけではなくて、他にも……“何か”が病気に影響を及ぼしている」

 

「え?」

 

「その“何か”が分かれば、ぼくもできる限りの対処してあげるよ〜。なんたって、シリウスは大事な英雄だからね〜」

 ホルクは皆を見回してショーンに訊ねた。

「どう? シリウスを解剖させる気は?」

 

 

 一瞬、止まってしまったが、ショーンは真顔で答えた。

「いや、解剖は無理だ」

 そうだ、解剖は無理だ。

 危うく解剖師の口車に乗せられるところだった。

 ゾッとしつつ、提案を出す。

「解剖は無理だが、要は“何か”の正体が分かればいいんだろ? 分かれば、主治医になってくれる、と?」

 解釈としてはそうだ。変態……いや、天才医師は軽く舌打ちをしたがニッと笑った。

「ああ、もちろんだよ。本当は解剖が一番だけど。解剖しなくても分かるならそれで。ショーンおじさんには思い当たるふしがあるのかい?」

「え!?

 思い当たるふしがあるのか? 玲菜は驚いて父を見る。

 父は何かを考えるようにして口を開いた。

「……まぁ、一応。確信は無いけどな」

「じゃあ、確信したら教えておくれ。それまでも、何かあったら診てあげるから」

 そう言って、医師は『解熱薬』という名の赤茶色の液体が入った瓶を置いて出て行った。

 

 早速、解熱薬を飲ませる用意をするフルドと、ショーンの顔を覗き込む玲菜。

 父は何も言わずに娘の頭に手をのせた。

 心配するなと言うように。

 

 一方、フルドは主《あるじ》を起こし始める。

「アルバート様」

 呼ばれてレオがゆっくりと目を開けた。

「ん?」

 顔は赤く、まだ高熱があるよう。

「少し起き上がれますか?」

「ああ?」

 支えられて、上体を起こされながら、従騎士の持つ薄茶色の液体の入ったコップに疑問を持った。

「なんだ……それ」

「ホルク医師の解熱薬です。飲んでください」

 聞いたレオは途端に拒否した。

「ホルクの!? 嫌だ!!

「大丈夫です! 水で薄めてありますから」

「やめろ!! 絶対飲まねぇ!!

 高熱で意識ももうろうとしているのに、必死で拒む様子に驚いたのは玲菜だ。

「どうしたの? レオ」

 隣でショーンは頭を押さえる。

「ああ、気持ちは解る。でも、ホルクの薬は本当によく効くから飲め、レオ」

 確かに彼の薬はよく効く。効きすぎて熱が下がりすぎないように水で薄めるほど。

 ただ、薄めるのはもう一つ理由があり『良薬は口に苦し』とはよく言ったものだ。とにかく強烈な味がする。

「お願いします、陛下!」

「いい。……熱は自力で……下げる」

 決して飲もうとはせずに、ついには目を閉じて眠ろうとするレオに玲菜が訴えた。

「お願い、レオ! 早くよくなってほしいの」

 

 渋々と彼は言う事を聞く。

 何度も何度もためらいつつも……ぐいっと薬を飲み干した。すると「あああああ」と叫び声を上げて吐きそうになったが堪《こら》えて。

 次の瞬間には気絶したように眠る。

 

 あまりの様子に呆然《ぼうぜん》としてしまった玲菜は解熱薬の味がそんなに強烈なのか気になったけれど、ひとまず眠ったレオの布団を肩まで掛けて看病の続きをする。

 

 やがて、薬が効いたのか彼が汗を掻《か》き始めたのでタオルで拭いていく。段々と汗びっしょりになり、フルドとショーンが一度、寝間着を着替えさせた。

 その後は安らかに眠り始めたので二人は部屋を出て行く。玲菜が一人で看ることにした。

 

 

 

 そして……数時間後。時刻的にはもう夜で、砦では祝賀会が始まっている頃。

 ちょうど玲菜に食事をと、フルドが届けに来た時にレオは目を覚ました。

 

「レオ!」

 ベッドの横で座り、覗き込んだ玲菜は目に涙を浮かべる。

「大丈夫? 熱は?」

 手をおでこにのせると特に熱い感じは無く、顔色も好かったので安堵《あんど》した。

「下がったみたいだね! 良かった」

「あ〜」

 レオも自分のおでこに手をあてて、苦笑いをした。

「そうだな、下がったみたいだ。ホルクの気味の悪い薬が効いたらしい」

「陛下!」

 駆け寄ったフルドはレオの具合が平気そうな様子にホッとして訊ねる。

「食事はできますか? 飲み物お持ちしますか? ショーン殿に報告をしてきましょうか」

「ああ。腹減ったし、喉が渇いたし、オヤジにも伝えた方がいいな」

 

「承知しました! では、すぐに!」

 フルドは返事をするとすぐに部屋を出て行く。

 

 二人きりになって、少し沈黙したが、レオはゆっくりと訊ねた。

「薬があるってことは、ホルクが来たってことだよな?」

「うん! フルドさんが砦に居るのを見つけてくれて」

 なぜ居たのかはさておき。

 

「もしかして、ホルクから聞いた?」

 

 何を? とは、玲菜には言えなかった。

 多分、病気のことだと察して。

 顔に出てしまっていると、レオが悟る。

「……あいつ、口止めしていたのに言いやがったか」

 肺砂病のこと。

「お前の他には、誰が聞いた?」

 玲菜は俯《うつむ》いて答える。

「フルドさんと……ショーンが」

 名を聞いて、レオは「あー」と納得した。

「そうか。そうだよな。……仕方ねーか」

 上体を起こして、涙ぐむ玲菜の頭を撫《な》でる。

「悪かったな、黙ってて。あと、心配かけて」

「ううん。熱が下がって良かった」

 

 しばらく撫でた後、優しく言った。

「大丈夫だよ。赤風のことは俺だってよく知っている。こうやってたま〜に高熱が出ることもあるけど、しばらくは日常生活になんも支障ねーから」

 だから、と、彼はまっすぐに見つめる。

 

「緑龍城に帰ったら、式を挙げるぞ」

 

 昼間、皆にも宣言したこと。

 

 心配した。不安にもなった。けれど、嬉しくて玲菜は堪えていた涙がこぼれた。

「……うん!」

 

 これから一生を懸けて彼を支えようと心に決める。

(三、四十年なんかじゃない! 五、六十年一緒に生きるんだもん! ホルクさんだって助けてくれる!)

 そもそも、進行は遅いわけだし、長く普通に暮らしていける。帝国一の医師がついてくれて、父の知識だってある。

(私も、赤風について調べよう!)

 調べれば治療法だってきっと見つかるし、数年後には治る病気になっているかもしれない。

 告知された時には絶望に落ちたが、希望は十分にある。

 

「レオ……」

 

 いつも自分が言われてばかりだ。

 

「私と、結婚してください」

 

 

「え?」

 突然の彼女からの求婚に、戸惑ったのはレオの方だ。

 いや、もう自分が言って成立しているはずなのに。なぜ?

 思わず顔が真っ赤になってしまう。……高熱ではなくて。

「ああ、うん。……するよな?」

 念の為にもう一度確認してしまった。

「うん」

 頷いて、玲菜は自分から彼に口づけをした。

 

 まるで、誓いのキスのように。

 

「レオ」

 その後も自分から顔を彼の胸にすりつけて手を背中に回す。

 

 なんだか誘っているようにも見えて、レオは動揺した。

「え?」

 高熱が下がったばかりで?

(誘っているのか?)

 また熱が上がりそうだ。

「玲菜」

 いいか。熱が上がっても。

 彼女を抱きしめて、後ろに寝転がろうとする。

 

 しかし……

「レオ! 熱が下がったって?」

 絶好の邪魔タイミングでショーンが部屋に入ってきて、慌てて二人は離れた。

「うわぁああ、オヤジ!」

 つい叫んでしまうほど。

 ああ、そうだ。フルドに呼ばせていたことを忘れていた。

 

 後からフルドもレオの食事を運んでくる。

 

 そうして、レオと玲菜は食事をしながら会話を楽しんだ。ショーンとフルドも同席していて、玲菜が今までも溜まっていた事の順を追って話す。

 

 *

 

 まずは、ミリアと朱音とでクリスティナ救出作戦に出向いた事。都へ着いてクララと会った事。

 サイ城へは無事に潜入して後宮に入ったが、クリスティナと逃げようとしたところで兵に囲まれた事。その時に相手の軍師でタヤマの兄であるシガという人物と会った事。

 皇太后《こうたいごう》のくノ一に助けられて城を脱出した事。

 クリスティナの侍女たちも一緒に逃げてきて、自分たちはマリーノエラの迎えの車で帰ってきた事。

 

 *

 

 結構時間がかかってしまったが、全部話し終わると、聴いていたショーンは視線をそらす。一連の出来事の端々《はしばし》にショーンの計算があって、よくもまぁ、いろいろと手を回したもんだと逆に感心してしまう。

 ただ、娘たちが危ない目に遭ったことに罪の意識があるらしく。それに、クリスティナ救出という名の人質作戦にも後ろめたさがあり。

 話が終わったらそそくさと立ち上がる。

「――まぁ、玲菜が今話した通りだよ。俺は見てないからどうだったのかは知らなかったし。でも朱音さんのおかげでうまくいったようなものだから、本当に感謝している。皇太后にも礼の手紙を出す」

 軍総隊長に怒られる前に「忙しいから」と部屋を出て行った。

 同時に、自分が居ては二人の邪魔だと察したフルドも食事の片づけをしてそのまま帰ってこなかった。

 

 

 レオと玲菜はまた二人きりになり、喋り疲れた玲菜は毛布を持ってソファに向かう。

「今日の祝賀会は残念だけどさすがに出られないよね。レオも熱が下がったばかりだし、もう寝よう?」

 確かに、熱が下がったからといって祝賀会の参加はさすがに駄目だ。まだ油断はできないし、また上がる可能性もある。

 もちろん、戦の疲れもあって、充分な休養が必要だ。

「レオは寝ていいよ。私は看ていて眠くなったら寝るし。もし高熱がぶり返しても、ホルクさんの薬があるから安心だし」

 その薬だけは絶対に嫌だと、レオは言う事を聞くことにする。

 けれど目を閉じる前に彼女を呼び寄せた。

「じゃあ、大人しく寝るけど、お前も一緒に寝よう」

「え?」

「移らない病気だからいいだろ? 俺もその方がぐっすり眠れる」

 確かに移らないけれども。まだ一緒に寝ない方がいいのでは? そう思った玲菜を有無も言わさず引っ張るレオ。

 仕方なく……だが、嬉しさの方が強く、玲菜は一緒に眠ることにする。たまに起きて様子を見ればいい、と。

 

 

 祝賀会の夜。皆の騒ぎには加わらずに、二人は静かに抱き合って眠った。

 レオの熱は上がらず、安らかなひとときを過ごす。二人にとっては久しぶりに幸せに包まれる……はずだった。

 

 

 

 その夜、玲菜は、どこか懐かしいような夢を見る。

 

 懐かしい?

 ああ、そうか。昔はよく見ていた。

 小説『伝説の剣と聖戦』の夢。物語を書いていた頃に、よく見ていた夢だ。

 

 レオによく似た主人公・シリウス。

 いや、逆か。シリウスに似ているのはレオの方。

 

 シリウスとヒロインのレナは幸せになる……予定だった……だろうか?

 ここで読んだ神話ではハッピーエンドだったが、自分が書こうとしていた結末は迷っていたはずだ。

 そうだ。シリウスが死んでしまう結末も考えていたはず。

 

 なぜか、今、その場面が映像として現れる。

 聖戦の途中で――矢に射られるシリウス。

 

 夢の中で観客として見ている玲菜は動けないし声も出せない。

 

 夢の中だから混ざっているのか、朱音や黒竜がシリウスに駆け寄る。

 なぜ自分は動けないのか考えると、小説の世界には存在しないから。

 小説の世界に存在するはずのない人間。

 

 シリウスとレナは幸せになれるはずがない。シリウスは死ぬ予定だったから。

 それなのに、誰かが書き足した幸せになる結末も違和感が無い。二人は結婚して、シリウスはサイの国の皇帝になり、めでたしめでたし……で、問題無かった。

 

『伝説の剣と聖戦』は本当に、自分が、創作した小説なのだろうか……

 そもそも、自分はこの未来の世界に存在していてもいいのだろうか……

 

 

 玲菜の頭の中で、どこかで聞いたような女性の声が響いた。

 

 

『本当はあの日、世界は壊れるはずだった』と――

 

 

 

 薄暗い部屋で、上体を起こしながら目を覚ます玲菜。

 しばらくボーッとして、漠然《ばくぜん》とした怖さが、ただの夢だったことに気付く。大きなため息をついて、一体何がそんなに怖かったのか思い出した。

(レオに……弓矢が……)

 そうだ、複数人と戦っていたレオの体に矢が刺さる夢。

 ゾッとして隣を見ると、静かに眠るレオの姿が。

(良かった!! 夢で!!

 玲菜は大量に出ていた汗と涙を拭いた。

 

 久しぶりに怖い夢を見た。

(あれ? でも、あれって、レオ?)

 嫌な夢だが、よく思い出してみるとレオではなく、『シリウス』と認識していたような。

(あ、伝説の剣と聖戦の夢?)

 自分の創作を映像化したような夢は、小説を書いていた頃にはよく見ていた。

「なんだ〜」

 レオではないと分かると、急に安心してくる。

 架空のキャラクターならば、何が起こっても怖いとは感じない。むしろ、久しぶりに見て懐かしいというか……。

(あんなに好きだったのに、シリウス)

 しかし、何か引っかかるような。

 

「あ!」

 玲菜は思い出す。

(朱音さんや黒竜さんも居た!)

 伝説の剣と聖戦の夢を見たはずなのに、朱音や黒竜まで居た。あの二人にそっくりなキャラ≠ヘ居なかったはず。

(なんか、現実と創作がごっちゃになっちゃったのかなぁ? 夢だから)

 いろいろと世界が混ざるのは夢なので大いにあり得て、だからあの二人まで登場したのだと思ったのだが、妙な違和感もある。

(どっかで見たような?)

 夢のシーンをどこかで見たような。もしかしたらレオではない?

 考えていると、隣で寝ていたレオが目を開ける。

「ん?」

 玲菜が起きていることに気付いて、彼も上体を起こす。

「どうした? 玲菜」

「うん」

 深く考えても、所詮《しょせん》は夢なので忘れて寝ようとした玲菜は、ある光景が目に浮かんだ。

「あ!! 黒竜さん!!

「え? 黒竜がなんだって?」

「シリウスじゃない、矢に射られたのは黒竜さん!!

 以前……レオたちにとっては二年前、隣国ナトラ・テミスとの戦いで、レオが集団暗殺者たちに襲われたことがあった。あれは確か、当時国境だった帝国西方門近くの警備隊詰所にて奇襲を受けた事件。

 あの時、玲菜が車で駆けつけて……レオを助けようとしたら代わりに黒竜が矢を受けてしまった。

(ああ、そうだ。そうだった)

 その光景を思い出して、創作と混ざってあんな夢を見たのか。

 レオが赤風だと判明した恐怖で?

 シリウスが死ぬ夢を……

(え? そうなのかな? シリウスが死ぬシーンは私、考えたこともあった)

 小説の結末候補に、悲しい版もあった。

 

「玲菜?」

 呼びかけられてハッとする玲菜。慌てて頭の中を切り替えた。

「ごめん、なんでもない。恐い夢を見ちゃって、ボーッとしちゃった」

「恐い夢?」

「うん」

 頷く玲菜を優しく包み込むレオ。

「そうか。早く忘れろ。今度はいい夢が見られるように、眠るまで俺がこうしていてやろうか?」

 そう言って彼は、頭を撫でて髪にキスをする。

 頬にも優しく唇を触れさせてきた。

 それがあまりにも心地好くて、是非お願いしたいところだったが、くすぐったさや恥かしさが勝る。

「ん、いいから。もう憶えていないから。また寝よう?」

 

 二人はまた横になり、何度か軽いキスを交わしてもう一度眠りに就く。

 今度は、妙な夢を見ることもなく、ぐっすりと幸せに眠ることができた。

 

 

 

 

 そして次の日。

 本日はいよいよ本拠地の緑龍城への帰還のための出発をする日。

 レオはすっかり好くなって朝食をいつも通りにとる。

 玲菜も同じく。荷物をこの部屋に運んでもらっていたのでレオと仲良く支度をする。

 砦内では昨夜の片づけや出発の準備が進められていた。

 

 その矢先――

 慌ただしく入ってきた黒竜により、不穏な報告が入ることになる。

 

「陛下! 申し上げます!! 今入った情報によりますと、皇帝の軍が緑龍城へ向かっているとの事!」

 

 前回の戦でバシルの奪還軍入りが発覚したといえども、こんなに早くに。それは、自分らの居ない時に緑龍城が攻められる悪夢の事態だった。


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