創作した小説が世界の神話になっていた頃
[第六話:休日に一泊二日でちょっと贅沢箱根温泉プラン。〜ポロリならまだしもボロリがあったら最悪だ〜]
一方、玲菜は自分が使っていいと言われた部屋に向かい、地下に降りた。
地下というか、半地下か。床はコンクリートでひんやりするかと思われたが空気は暖かい。ドアは二つ。確かトイレもあると言っていたので、片方はトイレか。
まずは、片方のドアを開ける。
薄暗い部屋に、上の方にある窓から光が射している。やはり床はコンクリート。マットでも敷きたい気分だ。そして若干古そうなベッド。他に何もない。壁には少しヒビがあり、天井には小さなランプのようなものが。恐らくこちらが借りられる部屋か。広さは自分の部屋よりも広いし、借りる分際で贅沢は言えない。
(あ、でも待てよ? 借りるっていつまで? 今だけ?)
よく考えると、なりゆきで一時匿ってもらっただけで今後はどうするかは何も考えていない。
(とりあえず帰りたいんだけど)
元に戻る方法を考えないといけない。
(ショーンに言ったら、助けてくれるかな?)
さすがにそれは図々しいか。昨日会ったばかりで。
(それよりお風呂入りたいなぁ〜)
昨夜は結局風呂に入れなかったし、服も着替えたい。年頃の女の子としてはかなり深刻な話。
一先ず顔だけでも洗いたいので、洗面所を探してもう片方のドアを開ける玲菜。
ありがたいことに、洗面台らしきものと鏡と、トイレらしきものがあるかなり広い部屋のようだ。他と同じく床はコンクリートだが、どことなく暖かい。しかし、肝心の水道の蛇口が洗面台に無く、困って見回すと、水の溜まった大きな浴槽らしきものがあり、その上に蛇口が一つだけあった。
(これってお風呂!? お風呂あったんだ?)
溜まっているのは冷たい水だったが。玲菜は風呂や蛇口があったことに感激する。
(井戸だったらどうしようかと思ったよ)
蛇口はお湯が出るような感じではなかったので、もしかすると沸かすのか? 顔を洗う時はここから水を持っていけばいいのか。近くには桶がいくつかあったので、顔を洗うのにちょうど良さそうな大きさの桶に蛇口をひねって出した水を入れて、洗面台に持っていく玲菜。そのままその水を使って顔を洗い、ようやく少し落ち着いた。
(水が冷たい!)
しかも綺麗そうで良かった。
自分の顔を見ると、疲れていたのがよくわかる。それに髪もボサボサだ。タオルは近くに掛けてあり、使っても平気かもしれないが、分からなかったので手で顔の水を切って乾くのを待つ。
そして、ふと気になったトイレが使えるのか確認してみることにした。
ここのトイレは蓋こそ無いが、陶器で出来ていてそんなに不衛生な感じもしないので座れる様子。紙は横に重ねて置いてあり、触り心地はザラザラで柔らかくないが仕方ない。問題は水洗かどうかで、水洗のような気もするが、どこに流すレバーがあるのやら。そう思った時、一つの考えが頭をよぎった。
(そうだ! 災害で断水した時、お風呂の水でトイレを流すって聞いたことあるな)
試しに紙を入れてみて、浴槽に溜まっている水を桶で汲んで流してみると勢いよく流れる。
(こうやって流すんだ!)
ある意味常識的なことかもしれないが、今まで考えたこともなかったトイレの仕組み。玲菜は少し賢くなった気分で思い出す。そういえば、牢屋のトイレの横に汲んであった水も流すためのものだったかもしれない。
玲菜はここのトイレ事情に少し安心して、もう一つ気になった所を調べてみることにした。それは浴槽の近くにあった扉。扉の奥には何があるのか。近付いた時に感じた僅かな暖かさ。
(なんだろう?)
お恐る恐る近付いてゆっくりと扉を開けると、そこには……
なんと! 浴室と風呂釜らしきものがあり、壁の湯口からは熱そうなお湯が流れ出ている。流れっぱなしで風呂釜から溢れたお湯はもったいなくも脇の排水溝に流れていっている様子。おかげで立つ湯気は天井の隙間に流れていく。
「お、おんせんだーーー!! 温泉掛け流しだーーー!!」
あまりにびっくりした玲菜は大声を出しながら階段を駆け上った。
居間では白いシャツと黒いズボンに着替えたショーンが猫のウヅキにミルクをあげていて、玲菜の声と気配にびっくりしたウヅキは高い棚の上に逃げて毛を逆立てた。
「どうした!?」
ショーンは何があったのかと玲菜に駆け寄る。
玲菜は息を切らしながら先ほどの温泉のことを彼に告げた。
「贅沢なの! 休日のちょっと贅沢プランがここにあるの!」
「は? 贅沢? 休日プラン?」
「休日に一泊二日でちょっと贅沢箱根温泉プラン、彼氏や友人と。が、ここにあるの!」
「んーーーと」
ショーンは玲菜の肩を叩いて困ったように言った。
「ちょっと落ち着いてくれ。それと静かにしないとレオが起きてうるさいし。いいか? ちょっと落ち着いてくれ。深呼吸して?」
言われるままに深呼吸してから改めて言う玲菜。
「いや、大丈夫だよ。ただ……下に温泉掛け流しがあったから」
「……あー、風呂のことか?」
「ただのお風呂じゃないよ! 温泉だよ? すっごい贅沢!」
「贅沢?」
ショーンは首を振って答えた。
「この辺は天然の湯が豊富だから、別に贅沢ではないさ。場所にもよるが、都《みやこ》の大壁内《だいへきない》の家だったらどこも出てるはずだ」
「ええ〜! すごいっ!」
「あっ……」
ショーンは何かに気付いて、一瞬ためらってから訊いた。
「あー。もしかして、風呂に入りたいとか? 悪いな、気付かなくて」
「え!!」
願ってもない。しかし、会って間もないおじさんの家の風呂に入るなんて良いのだろうか。
恐らく常識的には駄目だ。危機管理的にも。
(お父さんだったら駄目って言うな。きっと)
しかし、温泉に入りたい欲求は果てしない。
「あ、念の為言っておくと鍵あるから。タオルも使ってないのがあるし。着替えは無いけど。おじさんのシャツじゃ嫌だよな」
ショーンの「鍵はある」という言葉に負けて、玲菜はお言葉に甘えることにした。
「あーーー。気持ちいい」
玲菜は風呂に浸かって生き返った気分になっていた。温泉かと思ったが、硫黄などの感じはなく、確かに普通のお湯みたいだが。気分は温泉に近くなる。
元々出ている源泉は物凄く熱く、一回お湯を抜いてから浴槽にある水を加えてちょうどいい湯加減にする、とショーンに教わった。洗面所の浴槽に溜めてあった大量の水はトイレで使う他にこの為にあったのだという。
「あーーー。やっぱお風呂最高!」
前に行った海外旅行では浴槽が無くてガッカリしたもんだ。
(海外でもお風呂無いのに、ここではあるなんてまるで日本みたい〜)
厳密に言うと“無い”ではなく、湯船に浸かる習慣があまりない所が多いということだが。
(それにしても鍵があって良かった〜)
これで鍵が無かったらレオが起きてきてまるで少年漫画のようにお風呂でドッキリばったり会っちゃった。〜ポロリもあるよ〜みたいな罠にハマり兼ねない。
(それだけは嫌)
ポロリならまだしもボロリがあったら最悪だ。
玲菜は今までの疲れを取るようにゆっくり浸かって髪も洗った。シャワーやシャンプーなどは無かったが、桶を使って髪に流す。温泉だと成分によっては髪を洗うのに適さないようだが、普通のお湯っぽいので多分平気だろう。
そうして、充分に満喫した玲菜は借りたタオルで体を拭く。タオルはこれまた若干堅かったが痛いほどではない。着替えはないので元の服を着なければならないのは仕方ないか。せめて下着だけでも替えたいが。
玲菜は服を着てタオルを首に掛けてショーンの居るはずの居間へ向かった。
居間に入るとウヅキがまた逃げて今度はレオの部屋へ入っていった。
(逃げなくてもいいのに)
猫好きの玲菜としては残念だ。
「おお、お帰り」
ショーンは新聞を読みながら朝食をとっている。
玲菜の分まで用意されていて、何もついていない食パンらしきものとお茶と透明の容器に入った黄緑色の液体。
「これな、隣のサリィさんがおすそ分けしてくれた手作りパン。柔らかくてうまい」
「あ、ありがとう」
玲菜はソファに座って、差し出された食パンを手に取る。机を見て、ハッと気付いてショーンに謝った。
「あ、ショーン、ごめん! さっきのお皿、私片づけるって言ったのに」
昨日食べて片づけていなかった皿。ショーンは「いいよ」と言って新聞の続きを見ながら言った。
「食べたら話を聴きたい」
そうだ。ショーンは玲菜の事情を何も聞かずに今まで世話をしてくれた。見ず知らずの自分を、何も疑わずに。
レオみたいに、「もしかしたらスパイかもしれない」と普通は疑ったり怪しんだりするはずだ。あの時「助けてくれる」と言ったのはその場のなりゆきだったかもしれないが、それにしても親切すぎる。
実はもしかすると『聖地』という場所に不法侵入していた自分を疑っているのかもしれない、とも思う玲菜。だとしたら話を聴くために匿って……
いや、話を聴くだけなら尋問でもできる。
玲菜はショーンに裏があるのではないかと疑った自分を恥ずかしく思った。
(ショーンはそんな人じゃないよ。きっと、お父さんと同じタイプの人だよ)
父は“いい人”で、困った人がいると放っておけない。悪くいうと“お人よし”で、色んな頼みを引き受けてしまう。
もしかしたら、と玲菜は考える。
(ショーンの娘さんと私の歳が近いとか? それで放っておけない、とか?)
良い風に考えるとそれもありえる。自分の父は四十一だが、本来自分と同じ歳くらいの子の父親は四十代後半とか五十に近いはず。
ショーンは五十歳前後に見える。ぱっと見た時の茶色い髪にはよく見ると白髪が結構隠れているし。顔のしわも結構あって、傷が少しある。渋い顎鬚にも白い毛が混じっている様子。
食パンを何もつけずに食べながら玲菜は思った。
(でも、とにかくショーンには本当のことを話してみようかな)
元の世界に帰るにはどうしたら良いのか見当もつかない。今頼れるのは彼だけだ。
(多分、信じてもらえないけど)
それでも話しておこう、と。
食パンを食べ終わり、お茶も飲み終わった玲菜を見て、ショーンは新聞を読むのをやめた。話を聴く態勢に入っていると理解した玲菜は一息ついてから話し始めた。
「私ね……」
言いにくい。
「私……この世界の人間じゃないの。多分」
もしかしたら笑われるかもしれないと思った。けれどショーンはあまり反応せずに黙って話を聴いてくれている。玲菜は続きを話した。
「じゃあ、どの世界の人間かって訊かれるとなんて答えていいのか分からない」
そもそも、今居るこの世界がどこなのかがはっきり判明していない。可能性としては自分の小説『伝説の剣と聖戦』の世界かもしれないと思っているのだが。さすがにそれは言いづらい。
「私、ここともっと違う世界に居て。自分の部屋で小説を書いてたんだけど」
「小説……」
ショーンが呟いたので説明する玲菜。
「あ、空想の物語っていうか」
内容は言わなくてもいいか。
「そしたら、突然目の前が真っ暗になって。黒ずくめの知らない人が現れて、私の小説を盗んでいったの」
「盗まれたのか」
「うん。私は夢中で追いかけたんだけど、なんていうか……」
あの不思議な空間。
「変な、ドアがいっぱいある場所に着いてね。黒ずくめの人はそこで私の小説をドアの前に置くの。そしたら小説が吸い込まれたっていうか消えちゃって」
大体そんな感じだった。あの不思議な光景は忘れられない。
「その後、私はまた黒ずくめの人を追いかけるんだけど見失っちゃって」
小説を盗む前のあの人物の不敵な笑いを思い出す。あれはどういう意味だったのか。分からないが。
「見失った辺りにドアがあったから、触ってみたら勝手にドアが開いて。……えっと、なんか、吸い込まれた? みたいな。引っ張られて眩しくなってその後、気が遠くなって」
自分が憶えているのはここまで。その後いつの間にか眠っていたようで。
「で、気付いたらあそこに居たっていうか。ショーンの顔が目の前にあったっていうか」
「あそこっていうのは“レナの聖地”?」
「って、ショーンたちが言ってたよね。私は知らないけど」
以上だ。
この後のことはショーンにも分かっているはず。
さて、どういう反応をするか。
自分は全て正直に話したので、信じてもらえなかったら終わりだ。
「なるほど」
ショーンは何かを考え込んでいる。
(やっぱ、信じられないよね? 普通はそうだよね)
自分だって信じられない、と玲菜は不安になる。
無言の時間が凄く長く感じて玲菜はつらくなった。
長時間に感じた無言の後に、ついにショーンが口を開く。
「レナの聖地のあの場所は、レナが空から降りてきた伝説の通り、“そういう”場所だ」
「え?」
「つまり、太古から、世界には空間が繋がるというか……次元が繋がるというか……そういう場所があるらしくて。一説には大昔の科学の力で造られた次元移動装置だとか、空間移動装置だとかとも言われているけど」
いきなり難しいことを言われて玲菜は混乱した。
(え? 何? どういうこと?)
意味はよく分からなかったが、それよりも驚いたのが……
「え! ショーン、私の話信じるの?」
「嘘なのか!?」
ショーンの切り替えしに慌てて首を振る玲菜。
「嘘じゃない! 嘘じゃないよ! 本当のことだけど……まさか信じてくれるなんて」
ショーンはニッと笑う。
「実は俺、考古研究者でもあるから。それに、君の話のようなオカルト話は大いに興味ある」
「オカルト!?」
まさかそうくるとは。しかし、自分もオカルトや不思議好きで、テレビでたまにやるオカルト特集の番組を小さい頃からよく父と一緒に熱心に見ていた記憶を思い出す。
(これってオカルト現象?)
どちらにしろ“不思議”には変わりない。
とにかくショーンが話の分かる人間で良かった。しかも研究者だったなんて。
「ふーーむ」
ショーンはしばらく考えて自分で頷きながら言う。
「やはり、俺の考えた説は正しかった。やっぱりそうなんだ。そうなるとどういう風に繋がる? まさか過去じゃなきゃいいけど。大丈夫だよな?」
何やらブツブツと心配そうに顔を曇らせるショーン。
「ショーン?」
「ん? ……ああ!」
ショーンはまた少し考えてから玲菜に言った。
「話から察すると、レイナは元の世界へ戻りたいんだよな?」
「うん! もちろん!」
玲菜は身を乗り出して聴く。ショーンは考えながら続きを話した。
「えっと……な、俺の考えた説だと、時空とかが繋がりやすい日があって、別空間に行くにはその日じゃないと行けない、と。逆も然りで、辿り着く日もその世界の同じ環境にあたる日だと……思うんだが」
「え?」
前半はなんとなく分かったのだが、後半を聞き逃した。
「逆もしかり?」
「そう。つまり、移動できる日がたとえば満月の日だとして、そしたら辿り着く日もまた満月の日、という仮説」
「満月……」
そういえば最近満月のことで何か聞いたような、と玲菜は思い出したが今は言わないでおく。
「俺はさ、別世界というより、過去未来の話で空間移動の研究をしているんだけど」
「過去未来?」
「つまりタイムスリップ」
自分にとって分かりやすい言葉が出てきて納得する玲菜。ショーンはお茶を一口飲んでから続けた。
「仮にだよ? 太古の時空移動装置を使って、タイムスリップするなら装置が転送できる日とできない日がある、と。装置というか、特定の場所だと思うんだが」
というと、特定の場所から辿り着くのはやはり特定の場所か。急に話がSFっぽくなってきた。
そして、装置が稼働するのが特別な日。
「もちろん、タイムスリップじゃなくて、別世界への移動にしろ考えは同じなんだが。俺の考えでは、その装置である特定の場所が“レナの聖地”なんだ」
「あ!!」
玲菜は理解した。
つまり、ショーンの説の原理でいうと、レナの聖地に辿り着いたということはレナの聖地から帰れるということ。しかもうまくいけば同じ場所、つまり自分の部屋に辿り着く。
(え! ってか、私の部屋も装置ってこと?)
むしろそちらの方が驚きだ。
(あ、でもこの世界が私の小説の世界だったらありえるか。作者なんだし。創世神的な存在!?)
なんだか、自分がとても偉い存在のように思えてきた。それに仮だとしても嬉しい事実。
「もしかして私帰れるの!? レナの聖地に行けば!!」
ショーンは「まぁ待て」という風に手を向ける。
「俺の説が正しければそうなるが、問題は二つある。……いや、二つ以上かもしれないが、今の所二つ」
「二つ?」
「ああ」
ショーンは言いにくそうに答えた。
「一つは、特定の時間。装置を稼働できる日と言った方がわかりやすいか。玲菜が辿り着いた日がその日ならばもう過ぎている」
「え……」
玲菜は愕然とした。確かに今は翌日だ。
「もう一つは鍵。稼働するには鍵が必要だと思う。でなければ誰でもいつでも空間移動してしまう。それは危険だからありえない」
「カギ……」
玲菜は絶望した。
「そんなのわかんないよ」
それに、特別な日が数年後とか、あるいは数百年後とかであったらもうどうにもならない。
ショーンは玲菜の隣に移動して座って、じっとこちらを見る。
「大丈夫だ。一緒に考えよう。俺も研究者だから興味あるし、助けてあげられる。昨日出会ったのを縁だと思って協力するから」
おじさん、いちいちカッコイイ。
玲菜はありがたくて泣きそうになって、その拍子にふと思い出した。
(あ、そうか、さっきたとえでショーンが言ってた満月の日、あながち間違ってないんだ)
「ブルームーン」
「え?」
「ブルームーンの日だよ、あの日。ネットのツイッターにトレンドワードで入ってた。私、それで何かなぁ〜? と思って調べて。お父さんに教えてあげようと思ったんだもん」
移動する日の昼間の話。インターネットで知ったその日の情報。意味を検索してわかったこと。
「ん? なんだって? ブルー…トレンディ?」
「ブルームーン!! 別に青くはないんだけど、満月が月に二回来る珍しい日なんだって!」
「満月が二回……」
ショーンは考えて頷いた。
「なるほど! そうかもしれない。二回目かは調べないと分からないが、昨日は満月だった」
「わぁ! やった! ブルームーンなんだ、そうなんだ! じゃあ次のブルームーンに帰れる!」
玲菜は鍵のことを忘れてはしゃいだが、特別な日の正体が分かっても、深刻さは変わらなかった。
「ちょっと待って? ブルームーンって、次いつだったっけ?」
自分の居た世界では確か……
「あれ? 2015年!? ……三年後じゃん!!」
玲菜は途方に暮れるというのを肌で感じ取って呆然とした。